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7章 5/10『みつばちマーヤの冒険』クモに捕らえられたマーヤ [『みつばちマーヤの冒険』]

第7章 クモに捕らえられたマーヤ
☆7. MAYAS GEFANGENSCHAFT BEI DER SPINNE
作 WALDEMAR BONSELS  絵 Anton M.Kolnberger 1953年

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  マーヤは大声で叫びました。いまだかって恐ろしくて叫んだことはありません。
怖い歯、高く掲げた足のある茶色い毛の生えた怪物の丸い体は骨組みの中にある
ようです。その姿でかがんでいる時、死だってこんなに恐ろしくはないように思え
ます。今にも飛び掛ってきそうです。そうしたら生きていられません。
  するとマーヤは、今までに感じたことのない怒りが込上げてきました。どんな
動物でも知っていて恐ろしがる、かん高いく恐ろしい声を彼女は上げました。恐怖を
忘れ、命を売ることなんか出来ないほど大切、との思いが出た心の痛みからです。
  「あなたの策略は死であがなうのよ」と、マーヤはクモに叫びました。「さあ、
殺しにいらっしゃい。ミツバチがどんなものか見せましょう。」
  クモは動きませんでした。それはとても奇妙でした。マーヤが一匹で大きな
動物を恐ろしがらせたかのようでした。
  彼女はまだ怒る力が残っています。パチーン!巣の一方を支えていた長い
糸が切れました。それは小さな蚊かハエが突っ込んだのでしょう、いずれにしても
ミツバチのような大きな虫ではありません。マーヤの怒りは静まっていません。
 クモは少しスルリとマーヤの近くまで寄っていました。一本の糸で縛られている
足を動かすと体は下にぶら下がりました。
  「私の巣を壊すなんて何を考えているの?」と、クモはマーヤにしゃがれ
声で言いました。「いったいここで何がしたいの?世界は十分広いのに。のんきな
世捨て人さん、何で邪魔するの?」
つづく

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